
相続不動産の売却、健康保険料も考慮
親から引き継いだ不動産を売却する場合、引き継ぎ方(相続登記)や方法により後から「聞いてなかった!」というトラブルがあります。一番影響力が大きいものは「税金」で、皆さん注意していると思います。しかし税金以外にも注意は必要です。後々トラブルにならないために、ポイントを理解しておくと良いでしょう。
相続した不動産を売却する際に注意するポイント
- 税金(相続税・譲渡所得税)
- 自分の年金への影響
- 自分の健康保険料への影響
税金は「相続税」と「譲渡所得税」
先祖代々引き継いだ土地・建物など、そのままでは分けることが難しい為に売却をすることは非常に良くあるケースです。相続時は掛からないが売る場合には譲渡所得税が掛かる場合は非常に多くなります。仮に相続した土地建物を2,000万で売った、その時の諸経費は200万円だった。
このケースの場合2,000万ー(200万経費+100万みなし取得費)=1,700万が利益扱い(課税)になります。
親が所有していた期間にもよりますが、一般的に税率は20%になります。
1,700万円×20%=340万円が納める所得税になります。ここまでは不動産会社さんの方などからアドバイスがあることが多いでしょうし、譲渡所得税相当額も差し引いて相続人と平等に分割することが一般的です。
軽視されがちなのは翌年以降の「健康保険料」
税金までは、殆どの方がイメージできるのですが、問題は翌年からの健康保険料です。
不動産の売却や確定申告を済ませ納税した後のことなので「こうなるとは知らなかった・・・」という方が意外と多いものです。
年金収入だけで今までは健康保険も安かったのに、売却したことにより翌年確定申告で1,700万円も稼いだ高額所得者扱いになってしまいます。国民健康保険には上限がありますがそれでも上限に達すれば保険料は年間約89万にもなります。(世田谷区平成28年)
所得が800万円を超えると概ね上限に達します。今ままでは年金や個人年金などの収入で年間200数十万円であった人の所得が100万円の場合、年間の保険料は約16万円です。上限まで達すると5倍以上にもなりますので一時的な収入とはいえ影響力が大きいです。
現在 | 不動産売却後 | |
---|---|---|
年金所得 | 100万円 | 100万円 |
譲渡所得 | 0万円 | 1,700万円 |
健康保険の対象所得 | 100万円 | 1,800万円 |
健康保険料 | 16万円 | 89万円(5.5倍) |
※所得税や住民税、健康保険料は「収入」ではなく経費などを差し引いた「所得」から計算します。
健康保険料の増加分までを含めて「手取り」と思っておく
税金だけでなく、最終的には健康保険料にも影響がある不動産の売却は、共有で引き継いだ場合は共有持分で按分した所得が自分の納税額、健康保険料に反映されますので、手取り額=売却金額ー(諸経費+税金+増加する健康保険料)というイメージで考えておくと良いでしょう。
一人の方の名義に不動産を相続して、他の人に金銭で分ける場合は不動産を売却する場合、健康保険料の増加はその人だけになってしまいます。税金などを按分して負担して分割する場合は翌年増加する健康保険料まで考慮しておいた方が良いかも知れません。